2022.04.02

BOM(部品表)とは?データ構造・用途別の種類や管理方法を詳しく解説

「BOM」という言葉をご存知でしょうか?BOMとは、「Bill Of Materials」の略称で、部品表のことを指します。

主に製造業の現場で使用されるもので、製品を作るときに必要な部品をまとめた一覧表のことです。BOMの種類は多数あり、データ構造や用途によって分類されます。

BOMを適切に管理すれば製造現場にさまざまなメリットが見込めますが、いくつか課題となるポイントがあります。

そこで今回は、BOMの基礎概要や適切に管理するメリット、代表的な管理方法を解説します。最後までご覧になれば、BOMについて詳しく理解できた上で、自社にとって適した管理方法が見つかるはずです。

BOM(部品表)とは?

BOMとは、「Bill Of Materials」の略称で、部品表のことを意味します。

製品を作るときに必要な部品をまとめたものであり、品目情報の「PN(Parts Number)」と部品の構成を示す「PS(Part Structure)」の2つが記載されます。

製造業では1つの製品を完成させるだけでも、複雑な部品を多数使用します。それら部品を一覧表としてまとめておかなければ、それぞれの部品を正確に把握することは困難です。

製品や部品を有効活用するためにBOMが必要となり、設計部門だけでなく、生産部門や購買部門など、さまざまな部門で運用されます。

また、各部門の異なるBOMを統合化させ、1つのBOMとして管理する方法もあります。BOMを統合することで、生産管理の最適化に一歩近づくことが可能です。

BOMの統合化については、「統合化BOMとは?一括管理が難しい理由と特徴について詳しく解説」をご参考ください。

BOMの種類:データ構造

BOMはいくつかの種類に分けられます。まずは、データ構造によって分類される、「サマリ型」と「ストラクチャ型」をご紹介します。

BOMのデータ構造特徴
サマリ型製品を構成する部品や原材料の所要量を一覧にまとめる
ストラクチャ型製品の構成をツリー形式の階層構造で管理する

それぞれの特徴を見ていきましょう。

サマリ型

サマリ型は、製品ごとに必要な部品や原材料の所要量を記入していくタイプです。製品に必要な部品の総数を把握できます。

中間工程で部品の追加や仕様変更があったとしても、サマリ型であれば容易に対応することが可能です。部品調達の場面で活用できるほか、仕様変更が起こりやすい製品に関わっている業種で効果的です。

なお、部品の購買に関する情報をまとめた購買BOMは、主にこのサマリ型で作られています。

ストラクチャ型

ストラクチャ型は、製品を構成する中間部品を細かく定義し、ツリー形式の階層構造で管理するタイプです。製品が完成するまでの流れをわかりやすく管理できます。

また、製品の予定工数や標準リードタイムなどの計算に役立つため、中間工程が細かい製造で有効です。

BOMの種類:用途

BOMの種類は用途の違いでも分類されます。各部門の業務に合わせてBOMを構築することで、部品管理がより効率化します。

よく使用されている用途別BOMは以下の通りです。ほかにも、用途や部門によってさまざまなBOMが使用されます。

用途による種類特徴
E-BOM(設計部品表)製品に必要な部品や技術情報をまとめた一覧表
M-BOM(製造部品表)製品を構成するために必要な部品や工程、生産資源をまとめた一覧表
購買BOM部品の購買に関する情報をまとめた一覧表
サービスBOM製品サービスや保守メンテナンスの情報をまとめた一覧表

各BOMを1つずつ解説します。

E-BOM(設計部品表)

E-BOMは「Engineering-BOM」の略称で、設計部品表を意味します。開発・設計段階で使用されるタイプです。

E-BOMには製造に必要となる技術情報や各部品の仕様、モジュールの仕様、設計情報(図面データ)などを記入します。また、製品を設計する段階で「どんな部品が必要になるのか」が決まるため、E-BOMの記入は設計図情報と併せて行われます。

なお、E-BOMを使って必要事項を記入する際は、設計部門の担当者が扱うのが一般的です。このE-BOMについては「『E-BOM』と『M-BOM』の違いとは?各BOMを連携させる意味とその課題点」で詳しく解説しています。

M-BOM(製造部品表)

M-BOMは「Manufacturing-BOM」の略称であり、製造部品表を意味します。工程表や部品リストとともに管理し、製品を構成するために必要な部品を一覧表としてまとめます。

また、必要な部品や原材料、生産資源の情報以外にも、組立順序や加工方法などの中間工程に関する情報も記録します。さらに、このM-BOMは生産計画の作成や、生産の指示出しにも効果的です。

M-BOMについて詳しく知りたい方は、「M-BOM(製造部品表)とは?E-BOMとの違いや連携させるメリットを解説」をご参考ください。

購買BOM

購買BOMは部品を調達する際に使用する部品表で、部品の購入数や購入価格リスト、見積もり情報、発注情報などをまとめます。

また、購買BOMは自社情報だけでなく、仕入先の情報、仕入先から調達できない場合の代替品の情報も記入します。ただし、購買BOMを専用で作らない企業は多く、M-BOMに必要な情報を付け加えて使用する場合がほとんどです。

サービスBOM

サービスBOMは、製品サービスや保守メンテナンスのときに使用する一覧表です。「サポートBOM」や「保守BOM」と言われることもあります。

購入した顧客ごとに個別の管理を行い、メンテナンスの履歴を記入したり、次のメンテナンスのアナウンスに利用したりします。

また、メンテナンスに必要な部品がリスト化されるため、作業忘れや部品の欠如を防ぐことも可能です。サービスBOMは「S-BOM」と呼ばれることもあります。

BOMを適切に管理する2つのメリット

製造業の現場では、BOMの管理が業務に大きな影響を与えます。そのため、BOMを適切に管理できれば、現場にさまざまなメリットをもたらすことが可能です。

本項では以下2つのメリットを解説します。

メリット1.部品不足や手配漏れを防止できる

1つ目のメリットは、部品不足や手配漏れを防止できることです。BOMを有効的に管理できれば、部品明細ごとの手配進捗や納期を確認できます。

管理する方法による影響は大きいですが、部品に関する情報を同部門でスムーズに共有することで、部品不足や手配漏れなどのトラブルを未然に防ぐことが可能です。

メリット2.生産過程を把握できる

BOMを適切に管理すれば、生産過程を把握できるメリットがあります。各部門のBOMに生産過程の情報を蓄積することで、部品表の流用や検索が容易になります。

これも管理方法による依存度が高いものの、効率的に管理できれば「設計工程」や図面などの「検索工数」が削減するほか、生産過程を正確に把握することが可能です。

それに伴い、生産トラブルが起こった場合でも迅速に対応できるため、被害を最小限に抑えられます。

BOMを管理する代表的な3つの方法

BOMを管理すると一言で言っても、その管理方法は多岐にわたります。企業によって異なるほか、部門によっても管理・共有の仕方はさまざまです。

本項では代表的な管理方法を全部で3つ解説します。BOMを効率的に管理するためにも、自社にあった管理方法を見つけましょう。

方法1.紙

BOMを紙で管理する方法があります。紙での管理は昔ながらの方法で、パソコンやインターネットを必要としません。

パソコンを使った複雑な操作が必要ないため、誰でもすぐに始められます。また、視覚的な共有ができることから、現場で製品や部品を管理するのに向いています。

ただし、紙で部品表を管理すると紛失のリスクが伴うほか、各部門への情報共有が困難です。さらに、部品表を一度紛失してしまうと復元するのが難しいため、管理を慎重に行う必要があります。

それらのことから、紙で部品表を管理する企業はそこまで多くありません。ほとんどの企業は、別の方法でBOMを管理しています。

方法2.エクセル

2つ目の方法として、エクセルでの管理があげられます。大手・中小に関わらず、多くの企業がこの方法を採用しています。

エクセルを操作できれば管理可能であるため、始めるまでのハードルが低いのが特徴です。また、Windows系のパソコンであれば、最初からインストールされているので、コストをかけずにBOMの管理を開始できます。

しかし、エクセルは機能に制限があることから、より効率的な管理には向いていません。また、部門間の共有にも優れていないため、「最新機能を使って素早く社内共有したい」という場合は、別の管理方法を検討しましょう。

方法3.BOMシステム

最後に紹介する管理方法は、BOMシステムの運用です。BOMシステムは、部品表を効率的に管理するための仕組みを指します。

BOMシステムはパソコンを使って管理する方法で、製品に必要な部品情報を統合的に管理できます。また、各部門への情報共有がスピーディであるため、生産管理をスムーズに進行させることが可能です。

しかし、ほかの管理方法に比べて初期コストが高くなりがちです。中には導入するだけで100万円以上する製品もあるため、自社の予算に合わせて製品を検討しましょう。

まとめ

本記事では、BOMの基礎概要や適切に管理するメリット、代表的な管理方法を解説しました。

BOM(部品表)は主に製造業の現場で、ユニットや部品を管理するために使用されます。部門ごとに異なるBOMを使用することが多く、「データ構造」と「用途」によって複数のBOMに分類されます。

適切に管理すれば複数のメリットが見込めるものの、管理方法による依存度が高いため、業種や業態に合ったやり方で管理する必要があります。

ぜひ本記事で解説した内容を参考にし、自社に合った適切な管理方法を探してみてください。

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