統合化BOMとは?一括管理が難しい理由と特徴について詳しく解説
「BOMの統合化について知りたい」
「BOMを統合するとどんな意味があるの?」
そういった悩みや疑問はありませんか?統合化BOMとは、これまでにあった目的別のBOMを統合したものです。各部門のBOMを1つにまとめることで、より精度の高い管理が可能になります。
しかし、BOMの統合はそう簡単に実行できるわけではなく、「部品コードが統一されていない」「システムがバラバラに管理されている」など、困難な理由がいくつか考えられます。
そこで本記事では、統合化BOMの実現が難しい理由、特徴や関連する種類を解説します。最後までご覧になることで、BOMの統合化について詳しく理解できた上で、統合化を前向きに検討できるはずです。
統合化BOMとは?
統合化BOMとは、これまでにあった目的別のBOMを統合したものです。各部門・各拠点で使用している設計BOMや製造BOM、購買BOMなど、用途別のBOMを1つにまとめます。
複数のBOMを統合させることにより、製造や部品の情報を一元管理し、リアルタイムの情報共有を実現させます。情報共有がこれまでよりもスムーズになるため、社内一丸となってプロジェクトに取り組むことが可能です。
また、統合化BOMは部門や拠点ごとの機能を有していることから、社内全体で適合性のとれた情報共有を行えます。
しかし、BOMの統合化は容易に実行できるわけではありません。各部門や各拠点で使用しているBOMは、各所で扱いやすいようにカスタマイズされているためです。
各所ごとで独自のルールが適用されているので、連携する際にそのルールが食い違い、トラブルが発生するリスクがあります。連携するBOMが増えれば増えるほど、統合化の難易度は上がり、困難を強いられる可能性が上がってしまうのです。
BOMの統合化が難しい3つの理由
BOMの統合化が難しい理由を3つの観点から解説します。スムーズな統合化を目指すためにも、まずは課題点を理解しておきましょう。
理由1.部品コードが統一されていない
BOMの統合化を図ろうと思っても、部品コードが統一されていないため困難を強いられます。各部門から見ると1つの部品コードであったとしても、他部門からすれば統一されていないことが多々あります。
その場合、各部門の部品表を統合できるように、1つずつ品名コードを翻訳しなければなりません。通常の業務とは別に翻訳作業が必要になるため、余裕がある部門でなければBOMの統合化は難しいと言えるでしょう。
理由2.システムがバラバラに管理されている
BOMの統合化が困難である2つ目の理由は、システムがバラバラに管理されているためです。
各部門では作業を効率化するために、業務に合ったBOMシステムを使用しています。システムが統一されていない状態で統合化を図ろうとすると、各種BOMにおいてデータの乖離が起こるほか、管理プロセスの違いからトラブルに繋がるリスクがあります。
そのことから、システムがバラバラに管理されている場合、まずは統合するためにシステムを調整し、扱いやすくしなければなりません。
理由3.システムの変更をすぐに反映できない
BOMの統合化は、システムを変更してもすぐに反映されるわけではありません。各種BOMの情報やシステムを連動させる際、工場などに部品在庫がある関係上、すぐに切り替えられない可能性があります。
また、同じような細かい調整が重なるケースもあるため、BOMの統合化に時間を要してしまいます。このような理由から、多くの企業はBOMの統合化を進められずにいるのです。
BOMを統合させるために必要なこと
BOMの統合化は容易ではありませんが、必要なことを事前に理解しておけば、無理なく実行できるかもしれません。
BOMの統合化を目指す場合、まずは各部門や各拠点が抱えている情報を洗いざらい共有する必要があります。社内全体の情報を把握しておかなければ、BOMの一括管理は実現しません。
また、情報を共有した上で共通言語を定めて、部品番号や部品名を新たに設ける必要があります。部品名などを新たに設定することで、社内全体の共通認識として定着し、統合化がスムーズに進みやすくなるでしょう。
そして、その統合したBOMをすべての部門・拠点で確認できるよう、受け皿のような仕組みを構築することがキーポイントとなります。
このように、BOMの統合化は実現させるまでに時間と労力を要しますが、統合化できればその分いくつものメリットが見込めます。
統合化BOMの特徴3つ
BOMの統合化に成功させた場合、どんなメリットが見込めるのでしょうか?本項では統合化BOMの特徴を3つ解説します。それぞれを詳しく見ていきましょう。
特徴1.一気通貫で管理できる
統合化BOMの特徴1つ目は、一気通貫で管理できることです。統合化BOMは製造業の上流から下流までの工程をすべて管理できます。また、一気通貫の管理を実現すれば、以下のようなことも可能になります。
・全部門、全拠点での情報共有
・リードタイムの飛躍的な向上
・E-BOMからM-BOMへの成長と連続性の促進
・コンカレントエンジニアリングの実現
※コンカレントエンジニアリングとは、製品開発における複数のプロセスを同時並行で進め、開発期間の短縮やコスト削減を図る手法のことです。
特徴2.企業の共通情報のインフラとなる
統合化BOMは企業の共通情報のインフラとなります。統合化BOMを活用すれば、従来の部品表に製番の概念を導入し、生産設計に必要な工程手順や需給ルートの情報を一括にまとめることが可能です。
また、これらデータから各部門・各部署に必要な情報を、リアルタイムで管理できるようになるため、社内全体のコミュニケーションを担う情報インフラとなります。
それに伴い、企業情報をリアルタイムでスムーズに共有できるほか、以下のような情報共有を可能にします。
社内の部門 | 具体的な情報 |
営業部門 | 納期はいつに設定しているのか |
設計部門 | 設計変更の影響先はどこか |
購買部門 | 購入原価は適正なのか |
製造部門 | 製品をどう製造するのか |
原価部門 | 目標原価は達成可能なのか |
出荷部門 | 製品はどこの取引先に送るのか |
特徴3.部分最適の切り口で共有できる
統合化BOMの特徴3つ目は、部分最適の切り口で共有できることです。
一元化されたデータは、設計Viewや購買View、サプライヤViewといった、各部分の最適な切り口で共有できます。それにより、情報の成長と連続性を維持し、利用者に適した情報表示が実現可能です。
統合化BOMに関連するBOMの種類
統合化BOMに関連する代表的なBOMを紹介します。それぞれの特徴は下記の一覧表でご確認ください。
関連するBOM | 特徴 |
設計BOM | 製品に必要な部品や技術情報をまとめた一覧表 |
製造BOM | 製品を製造するために必要な部品や工程、資源などを纏めた一覧表 |
購買BOM | 部品の購買に関する情報をまとめた一覧表 |
サービスBOM | 製品サービスや保守メンテナンスの情報をまとめた一覧表 |
ひとつずつ詳しく解説します。
設計BOM
設計BOMは設計段階で使用されるBOMで、製品に必要な部品や技術情報をまとめた一覧表です。この設計BOMは別名「E-BOM」とも言われます。
この設計BOMは製品に必要な部品を一覧表としてまとめるだけでなく、部品の仕様や技術情報、設計情報なども管理します。また、CADなどの設計情報から出力したデータで作成する場合もあります。
製造BOM
製造BOMは「M-BOM」と呼ばれることもあり、組立順序や加工工程などを記載した部品表を指します。製品を製造するために必要な部品や工程、資源などをまとめたものであり、原材料の情報などを記載するのが一般的です。
また、設計部門から受け取った部品表に必要な情報を追記し、生産計画や製作指示、加工リードタイムなどを考慮して部品を手配します。
購買BOM
購買BOMは部品の購買に関する情報をまとめた一覧表です。別名「P-BOM」と呼ばれることもあり、部品の購入数や購入価格リスト、見積もり情報、発注情報などを記録します。
そのほか、仕入先から調達できない場合の代替品の情報なども管理します。ただし、日本企業の多くは購買BOMを使用しておらず、製造BOM(M-BOM)の中に含めることがほとんどです。
サービスBOM
サービスBOMは、製品を顧客に納品したあとにメンテナンス情報を管理するための部品表です。このサービスBOMは、「S-BOM」や「保守BOM」と呼ばれることもあります。
顧客ごとのメンテナンス情報を管理することで、サービス履歴を把握して適切に対応したり、メンテナンスの必要性をアラートで知らせてくれたりします。また、メンテナンスに必要な部品がリスト化されるため、作業忘れや部品の欠如を防ぐことも可能です。
まとめ
本記事では、統合化BOMの実現が難しい理由、特徴や関連する種類を解説しました。
統合化BOMとは、これまでにあった目的別のBOMを統合したものであり、製造や部品の情報を一元管理し、リアルタイムな情報共有を実現させます。
しかし、BOMを統合するのは容易ではなく、多くの企業が統合化の実現に頭を抱えています。難しい理由としては、「品名コードが統一されていない」「システムがバラバラに管理されている」などがあげられます。
各種BOMを統合させるのが難しい分、実現できれば複数のメリットが見込めます。企業全体の効率化にも繋がるため、ぜひ本記事を参考にしてBOMの統合化を検討してみてください。
なお、本サイトを運営する株式会社クラステクノロジーも「Celb」というBOMシステムを提供しています。本サービスは月額利用のできる新しいBOMシステムであり、統合化に関する質問や個別相談を承っております。
「BOMの統合化についてわからないことがある」「BOMを導入して部品を効率的に管理したい」といった方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
低価格なクラウドBOM(部品表)サービス「Celb」