2022.02.08

「E-BOM」と「M-BOM」の違いとは?各BOMを連携させる意味とその課題点

「E-BOM」と「M-BOM」の違いはご存知ですか?E-BOMは製品の部品やユニット構成をまとめたものである一方、M-BOMは生産工程に準じて設計部品表を再編したものです。

それぞれ使いみちが異なるBOMですが、双方を連携させることで複数のメリットが見込めます。しかし、BOMを連携させるのは容易ではなく、いくつかの課題をクリアしなければなりません。

そこで本記事では、E-BOMとM-BOMの違い、双方の連携が困難である理由を解説します。最後までご覧になれば、各BOMを詳しく理解できた上で、BOMの連携に適した手段を見つけられるでしょう。

E-BOMとは?

E-BOMとは、「Engineering BOM」の略称であり、設計部門が作成する部品表のことです。別名で「設計部品表」や「設計BOM」とも呼ばれます。

製品の部品やユニット構成を一覧表にまとめたもので、それ以外にもモジュールの仕様、設計情報(図面データ)、技術情報などを記載します。

似て非なるM-BOMとは?

M-BOMとは、「Manufacturing BOM」の略称で、製造部門が作成するBOMのことを意味します。組立型製造業においては、「製造部品表」や「製造BOM」と呼ばれます。

M-BOMは生産工程に準じて設計部品表を再編したものであり、製造に必要な部品・資材情報と工程情報を記載し、生産スケジューリングや生産指示、部品手配などに活用します。

E-BOMとM-BOMの違い

E-BOMとM-BOMにはどのような違いがあるのでしょうか?

双方では、構築・管理するシステムが異なることがほとんどです。そもそも、BOMを活用する部門が違うため、多くの場合で各部門に適したシステムが採用されています。

具体的には、E-BOMは「製品を製造する構成」であるのに対し、M-BOMは「製品を製造するために必要な部品や生産資源」といった違いがあります。

E-BOMとM-BOMを連携する意味

多くの企業が2本柱として活用しているE-BOMとM-BOM。双方を連携させることで、マーケティングから開発設計、生産、物流、アフターサービスまでの過程を把握する第一歩となります。

また、複雑な製品の詳細さえも素早く把握できるようになるため、顧客が求めるニーズを瞬時に理解し、要望に沿った製品の供給をスピーディに行えます。

製品の詳細を変更した場合もすぐに反映されることから、生産拠点間や部門間で情報の乖離が起こりづらくなるでしょう。

E-BOMとM-BOMの連携が困難である理由

E-BOMとM-BOMにおける連携の重要性を解説しましたが、実現するのは容易ではありません。困難である理由を3つ見ていきましょう。

理由1.品目コードが違う

E-BOMとM-BOMでは品目コードが違うことがあります。設計部門から見ると1つの品目であっても、ほかの部門からすると異なる場合があるのです。

品目コードが違うままの連携は難しいため、適切な情報共有ができていない場合は、部品表の翻訳作業をしなければなりません。既存業務とは別に翻訳作業が発生することから、時間に余裕を持たせる必要があるのです。

理由2.情報入力が必要

各BOMの情報入力が必要になり、連携が困難になるケースもあります。E-BOMとM-BOMを別々に管理している場合、それぞれのBOMを1つのシステムで管理するためにも、整合性を保つためのBOM情報を入力しなければなりません。

そして、BOM情報の入力で双方に乖離が生じてしまった場合、「統合作業がスムーズに進まない」という状況に陥ってしまいます。双方の連携が中々進まないことから、統合化を諦めてしまう企業も多いでしょう。

理由3.システムがバラバラになっている

システムがバラバラになっていることが理由で、各BOMを連携できない場合があります。各BOMは部門ごとに適したシステムを導入していることが多いのです。

例えば、設計部門では顧客に合わせた製品を設計するためのシステムを導入しています。一方、製造部門の場合は、マニュアル化された手順を正確に実施するためのシステムを導入しているなど、まったく別のシステムを扱っている場合があるのです。

こうした状況のまま連携すると、システムに乖離が生じてしまい、さまざまなトラブルが起こってしまいます。

E-BOMとM-BOMを連携させるBOMシステム

E-BOMとM-BOMを連携させる際には、いくつかの課題が発生します。そこで、部品表の管理を効率化させるBOMシステムを導入すれば、現場の業務に則った効率的な統合を可能にします。

そもそもBOMシステムとは、部品表を効率的に管理するための仕組みのことです。製品に必要な部品情報を統合的に管理できるほか、各部門への情報提供をスムーズに実施します。

これまで当たり前だった紙やエクセルによる管理とは大きく異なり、人為的なミスを防止できる、過去に使った部品を瞬時に検索できる、といった利点があります。

また、BOMシステムは複雑な部品を統合的に管理できるため、製品を大量に製造・管理している企業にとっては非常に効果的です。最近では中小企業も積極的に導入しているなど、BOMシステムに注目が集まっています。

BOMシステムの機能

BOMシステムにはさまざまな機能が備わっています。主な機能としては以下の4つがあげられます。

BOMシステムの機能内容
BOM(部品表)管理機能・部品表や設計、生産などを属性ごとに管理できる
・どこに何のBOMがあるのかが明確になるため、部品表の間で矛盾が生じづらくなる
BOM(部品表)更新機能・自動的に部品表の変更履歴を管理してくれる
・設計部門で情報共有が容易になるため、伝達漏れや設計ミスを防止できる
在庫管理機能・部品表以外にも製品の製造工程に沿って管理できる
・製品が完成するまでにかかる時間が明確になる
製品管理機能・製品を属性ごとにわかりやすく管理できる
・製品情報を紐付けて登録できるため、製品の図面を探す手間が省ける

なお、BOMシステムについて詳しく知りたい方は「いま話題のBOMシステムとは?活用するメリットや機能性を解説」をご参考ください。BOMシステムをより深く理解できるはずです。

E-BOMやM-BOM以外の種類

BOMの種類は、E-BOMやM-BOM以外にもたくさん存在します。「登録方法」と「用途」に分けて見ていきましょう。

登録方法によるBOMの種類

登録方法によるBOMの種類は、「サマリ型」と「ストラクチャ型」に分類されます。それぞれの特徴は下記の通りです。

登録方法による種類特徴
サマリ型製品を構成する部品や原材料の所要量を一覧にまとめる
ストラクチャ型製品の構成をツリー形式の階層構造で管理する

用途によるBOMの種類

用途に応じた代表的なBOMは以下の4つがあげられます。

用途による種類特徴
E-BOM(設計部品表)製品に必要な部品や技術情報をまとめた一覧表
M-BOM(製造部品表)製品を構成するために必要な部品や工程、生産資源などをまとめた一覧表
購買BOM部品の購買に関する情報をまとめた一覧表
サービスBOM製品サービスや保守メンテナンスの情報をまとめた一覧表

まとめ

本記事では、E-BOMとM-BOMの違い、双方の連携が困難である理由を解説しました。

E-BOMは製品の部品やユニット構成をまとめたもので、モジュールの仕様、設計情報(図面データ)、技術情報などを記載します。一方、M-BOMは生産工程に準じて設計部品表を再編したものであり、「製造部品表」や「製造BOM」とも呼ばれます。

E-BOMとM-BOMを連携させることで複数のメリットが見込めますが、実現するのは容易ではありません。ぜひ本記事で解説した課題点を理解した上で、各BOMの連携を検討してみてください。

なお、BOMの連携にはBOMシステムが効果的だと解説しましたが、本サイトを運営する株式会社クラステクノロジーも、「Celb」というBOMシステムを提供しています。

本サービスは情報の分散化・俗人化・不整合の根本的な改善と、情報管理の手間やコストの大幅な軽減を実現します。また、月額利用のできるBOMシステムであるため、「初期費用をあまりかけたくない」という方にもおすすめです。

そのほか、BOMに関する質問や相談も承っておりますので、「BOMを連携させて効率化させたい」「BOMシステムの導入費用を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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