2022.02.03

いま話題のBOMシステムとは?活用するメリットや機能性を解説

「BOMシステムを使えばどんなことができるの?」という疑問はありませんか?そもそもBOMとは、製品作成に必要となる部品の一覧表のことです。BOMには登録方法や用途に応じて、さまざまな種類が存在します。

製造業において必要不可欠なBOMを効率化するための仕組みが「BOMシステム」です。紙やエクセルで手掛けるBOMとは違い、部品管理を統合的に実施できるだけでなく、よりスムーズに情報共有を行えます。

それにより、部品管理のさらなる効率化や人為的ミスの削減など、複数のメリットが見込めるでしょう。

そこで本記事では、BOMの基礎概要や種類、BOMシステムのメリットなどを解説します。最後までご覧になることで、BOMシステムの概要を理解できた上で、自社に導入すべきか適正判断ができるでしょう。

BOM(部品表)とは、製品作成に必要となる部品の一覧表

BOMとは「Bill Of Materials」の略称で、部品表のことを意味します。製品を作るときに必要な部品をまとめたものであり、品目情報の「PN(Parts Number)」と部品の構成を示す「PS(Part Structure)」の2つが記載されます。

製造業ではたったひとつの製品を完成させるだけでも、複雑な部品をたくさん使用します。それら部品を正確に管理し、現場で有効活用するためにBOMが必要になるのです。

このBOMは設計部門だけではなく、生産部門や購買部門など、さまざまな部門で活用されます。

例えば、設計部門で作成されたBOMは生産部門へ渡り、業務に適した形に整えられます。そして、製品を作るために必要な材料を集める購買部門においても、このBOMを参考にして業務が進行していきます。

このように、BOMは製品を開発・生産する上では非常に重要であり、製造業では当たり前のように有効活用されています。

BOMのデータ構造

BOMは登録方法(データ構造)によって「サマリ型」と「ストラクチャ型」に分類されます。

BOMのデータ構造特徴
サマリ型製品を構成する部品や原材料の所要量を一覧にまとめる
ストラクチャ型製品の構成をツリー形式の階層構造で管理する

それぞれの特徴を解説します。

サマリ型

サマリ型は、製品を構成する部品や原材料の所要量を一覧にまとめるタイプです。製品に必要な部品の総数を把握できます。

製品の仕様変更があったときや、中間工程で部品を追加する場合の対応なども容易に行えます。サマリ型は部品調達の場面で活用できるほか、仕様変更が起こりやすい製品に関わっている業種での利用が特に効果的です。

ストラクチャ型

ストラクチャ型は、製品を構成する中間部品を細かく定義し、ツリー形式の階層構造で管理していくタイプです。「構造型」と呼ばれることもあります。

製品の予定工数や標準リードタイムなどの計算に役立つため、中間工程が細かい製造で有効です。

用途によるBOMの種類

いくつか代表的なBOMをご紹介します。

用途による種類特徴
E-BOM(設計部品表)製品に必要な部品や技術情報をまとめた一覧表
M-BOM(製造部品表)製品を構成するために必要な部品をまとめた一覧表
購買BOM部品の購買に関する情報をまとめた一覧表
サービスBOM製品サービスや保守メンテナンスの情報をまとめた一覧表

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

E-BOM(設計部品表)

E-BOMとは「Engineering-BOM」の略称で、設計部品表のことを指します。E-BOMは開発・設計段階で使用されるタイプです。

製品に必要な部品を一覧にするだけではなく、各部品やモジュールの仕様、技術情報、設計情報(図面データ)などを管理します。E-BOMを使って必要事項を記入する際は、設計部門の担当者が扱うのが一般的です。

M-BOM(製造部品表)

M-BOMは「Manufacturing-BOM」の略称であり、製造部品表のことを意味します。製品を構成するために必要な部品をまとめた一覧表です。

必要な部品や原材料の情報以外にも、組立順序や加工方法など中間工程に関する情報も記録します。このM-BOMを活用すれば、生産計画の作成や生産の指示出しを効率化させることが可能です。

購買BOM

購買BOMは、部品の購買時に活用される部品表です。部品の購入数や購入価格リスト、見積もり情報、発注情報などを記録し、一覧表としてまとめます。

そのほか、仕入先から調達できない場合の代替品の情報なども管理します。ただし、日本企業の多くは購買BOMを使用しておらず、M-BOM(製造部品表)の中に含めてしまうことがほとんどです。

サービスBOM

サービスBOMは、製品サービスや保守メンテナンスのときに使用するタイプです。「サポートBOM」や「保守BOM」と言われることもあります。

製品を購入した顧客に個別管理を行い、必要な情報を管理する役目があります。また、メンテナンスに必要な部品がリスト化されるため、作業忘れや部品の欠如を防ぐことが可能です。

BOMシステムとは、効率的に部品を管理するための仕組み

BOMシステムとは、部品表を効率的に管理するための仕組みのことです。製品に必要な部品情報を統合的に管理できるだけでなく、各部門への情報提供をスムーズに行えます。

紙やエクセルで管理するものとは大きく異なり、人為的な二重入力や入力ミスなどを防止します。特に、より複雑な工程を必要とする製品製造の場面で効果的です。

複雑な部品を統合的に管理できるため、製品を大量に製造している大手製造会社にはBOMシステムが必要不可欠です。最近では中小企業も積極的に導入しているなど、BOMシステムに注目が集まっています。

BOMシステムの機能

一言でBOMシステムと言っても、製造過程で活かせる機能は複数存在します。BOMシステムで実施できる主な機能としては、以下の4つがあげられます。

BOMシステムの機能内容
BOM(部品表)管理機能・部品表や設計、生産などを属性ごとに管理できる
・どこに何のBOMがあるのかが明確になるため、部品表の間で矛盾が生じづらくなる
BOM(部品表)更新機能・自動的に部品表の変更履歴を管理してくれる
・設計部門で情報共有が容易になるため、伝達漏れや設計ミスを防止できる
在庫管理機能・部品表以外にも製品の製造工程に沿って管理できる
・製品が完成するまでにかかる時間が明確になる
製品管理機能・製品を属性ごとにわかりやすく管理できる
・製品情報を紐付けて登録できるため、製品の図面を探す手間が省ける

このように、BOMシステムにはたくさんの機能が備わっています。また、システムによってはほかの機能も備わっているため、初めて扱う方はかなり複雑に感じるかもしれません。

使いこなすのに時間を要するかもしれませんが、活用できれば部品管理が効率化するはずです。BOMシステムを導入するメリットについては、次項で詳しく解説します。

BOMシステムを導入する3つのメリット

BOMシステムを導入することで、以下3つのメリットが見込めます。メリットを十分に理解した上で、BOMシステムの導入を検討してみてください。

メリット1.部品管理を効率化できる

BOMシステムを使用すれば、紙やエクセルで部品管理をするよりも効率化できます。従来の管理方法では、部品の情報を探しにくかったり、共有に時間がかかったりなど、さまざまな課題がありました。

しかし、最新技術を搭載しているBOMシステムを導入すれば、複雑な部品情報でも体現的な管理が可能であるため、これまでの課題を解消することができるでしょう。

メリット2.人為的なミスが起こりづらくなる

BOMシステムを導入することにより、人為的なミスが起こりづらくなります。BOMシステムには、自動的に部品表の変更履歴を管理してくれる「更新機能」や、製品を属性ごとにわかりやすく管理できる「製品管理機能」が備わっています。

これらの機能によって人間が部品管理に関わる機会が減少し、ユーザビリティの高い管理が可能になるため、人為的なミスが起こりづらくなるのです。現場の人為的なミスを減らすことで、さらなる生産性の向上が見込めるでしょう。

メリット3.特定の部品を作った製品(構成)を瞬時に探せる

BOMシステムを活用することで、特定の部品を作った製品(構成)を瞬時に探せるようになります。従来の表計算ソフトなどによる管理方法では、特定の部品の影響範囲を探す際に時間も労力も掛かってしまうことがあります。

一方、BOMシステムを導入すれば、製品の製造に使用する部品が変更になった際(後継品、仕入れ先の変更など)、該当する部品の影響先を短時間で探すことができます。

また、トレーサビリティ観点から、特定の部品や発注先、仕入先を探し出すことも可能です。

※トレーサビリティとは、トレース(追跡)とアビリティ(能力)を組み合わせた造語のことで、日本語では「追跡可能性」という意味を持ちます。

まとめ

本記事では、BOMの基礎概要や種類、BOMシステムのメリットなどを解説しました。

そもそもBOMは、製品作成に必要となる部品の一覧表を意味します。登録方法によるBOMと用途によるBOMがそれぞれ数種類ずつあります。

BOMシステムは効率的に部品を管理するための仕組みであり、さまざまな機能が備わっています。BOMシステムを導入することで、部品管理の効率化や人為的なミスの削減など、複数のメリットが見込めるでしょう。

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また、「Celb」ではBOM情報に図面を紐づけて管理することができ、ドキュメント管理ツールとしても利用可能なシステムです。

そのほか、BOMに関する質問や相談も承っておりますので、「BOMシステムを導入しようか悩んでいる」「部品管理がうまくできなくて困っている」などの悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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