2022.03.04

M-BOM(製造部品表)とは?E-BOMとの違いや連携させるメリットを解説

M-BOM(製造部品表)の役割を知っていますか?M-BOMは、製造部門の生産工程に準じて設計部品表を再編し、製造に必要な部品・資材情報と工程情報を管理します。

また、E-BOM(設計部品表)と連携させることで、あらゆる工程を一元管理できる、顧客ニーズに素早く対応できるなどのメリットが見込めます。

しかし、双方のBOMを連携させるのは容易ではないため、本記事でM-BOMとE-BOMの違い、BOMを連携させる際の課題点と解決策を解説します。

M-BOM(製造部品表)とは?

M-BOMとは、「Manufacturing-BOM」の略称で、製造部品表のことを指します。製造部門の生産工程に準じて設計部品表を再編し、製造に必要な部品・資材情報と工程情報を管理します。

また、生産スケジューリングや生産指示、部品手配などに活用するほか、自社で調達しない部品構成の削除、設計変更で部品切り替え時期をコントロールするための有効日の情報なども含まれます。

生産マネジメントを行う上で効果を発揮するM-BOMは、ERP(基幹系情報システム)で管理するのが一般的です。ERPにおける品目マスタでは、調達や製造、物流などに関する複数の属性が登録されます。

似て非なるE-BOMとは?

E-BOMとは「Engineering-BOM」の略称で、設計部品表のことを意味します。設計部門が作成する部品表であり、製品の部品やユニット構成を一覧表にまとめます。

部品の情報以外にも、モジュールの仕様、設計情報(図面データ)、技術情報などを記載します。

M-BOMとE-BOMの違い

M-BOMとE-BOMを混同する方もいますが、双方はまったく違う部品表です。

そもそも、双方のBOMは管理する部門が違うため、構築・管理のシステム自体が大きく異なります。管理する部門に適したシステムが採用されているのです。

また、M-BOMは「製品を製造するために必要な部品や工程・生産資源」であるのに対し、E-BOMは「製品を製造するために必要な部品と構成をまとめたもの」である、といった違いがあります。

M-BOMとE-BOMを連携させる3つのメリット

システムが大きく異なるM-BOMとE-BOMは連携させることも可能です。双方のBOMを連携させることで、以下のようなメリットが見込めます。

1.あらゆる工程を一元管理できる
2.顧客ニーズに素早く対応できる
3.部門間の相違が少なくなる

生産管理を最適化させるためにも、各種BOMの連携がキーポイントとなります。以下詳細を詳しく解説します。

メリット1.あらゆる工程を一元管理できる

1つ目のメリットは、あらゆる工程を一元管理できることです。双方のBOMを連携すれば、マーケティングから開発設計、生産、物流、アフターサービスまでの過程を把握する第一歩となります。

あらゆる工程を一元管理できることで、生産管理の最適化や生産性の向上に繋がるため、結果として売上の向上にも期待できます。

メリット2.顧客ニーズに素早く対応できる

顧客ニーズに素早く対応できることも、BOMを連携させるメリットだと言えるでしょう。

BOMの連携は、複雑化する製品管理を効率化させます。仮に新しい顧客ニーズが登場したとしても、それに対応させた製品をすぐに開発・生産できるため、素早く需要の高い製品を供給できます。

顧客ニーズに合った質の高い製品を素早く供給することで、結果的に顧客満足度の向上に繋がるでしょう。

メリット3.部門間の相違が少なくなる

3つ目のメリットは、部門間の相違が少なくなることです。BOMを連携させて全体を把握することで、製品の細かい変更や改善に素早く対応できるようになります。

製品拠点間や部門間での情報乖離が起こらなければ、生産管理がスムーズになると同時に、人為的なトラブルが減少します。また、余計な手間やコストが減るため、企業の売上げアップにも期待できるでしょう。

M-BOMとE-BOMの連携が困難である3つの理由

ここまで、M-BOMとE-BOMを連携させるメリットを解説しましたが、システムの違うBOMを連携させるのは容易ではありません。

双方のBOMが連携困難である理由は、大きく分けて3つ考えられます。各種BOMの連携を検討している方は、以下詳細を詳しく理解しましょう。

理由1.システムがバラバラになっている

連携困難である1つ目の理由は、システムがバラバラになっているためです。M-BOMとE-BOMは、各部門に合わせたシステムが採用されています。

例えば、M-BOMは製品を正確かつスムーズに製造するため、製造手順をマニュアル化して実施するためのシステムを導入しています。一方、E-BOMは顧客に合わせた製品を設計するためのシステムが活用されています。

このように、双方のBOMはバラバラのシステムが採用されており、この状況で連携させようとした場合は、システムの乖離によりトラブルが生じてしまうリスクがあるのです。

理由2.通常のサプライヤー以外から部品を購入するケースがある

通常のサプライヤー以外から部品を購入するケースがあることも、困難である理由に含まれます。

製品に急な仕様変更が入ったときには、別のサプライヤーから一時的に部品を調達する場合があります。この場合、素材や品番が突如として変更させるため、M-BOMの情報を修正しなければなりません。

しかし、システムの違いから情報の修正がうまく共有されず、E-BOMとの情報に乖離が生じてしまうなど、BOMの連携によってトラブルが起こる可能性があります。

理由3.仕様変更の反映に時間がかかる

3つ目の理由は、仕様変更の反映に時間がかかることです。設計部門でE-BOMの情報を変更した場合、本来はM-BOMも連動させて情報を変更する必要があります。

しかし、製造業の工場には部品在庫があることから、M-BOMの仕様変更にはタイムラグが発生します。さらに、その仕様変更が繰り返し行われると、そのタイムラグが積み重なり、さまざまなトラブルに繋がるリスクがあるのです。

M-BOMとE-BOMを連携させるBOMシステム

M-BOMとE-BOMの連携が困難である理由は、大まかに理解できたと思います。では、連携が困難である理由を踏まえて、双方のBOMを連携させるにはどうすればいいのでしょうか?

M-BOMとE-BOMの連携で重要となるのが、各種BOMを効率化させる「BOMシステム」です。BOMシステムを導入することで、現場の業務に則った合理的な統合を可能にします。

そもそもBOMシステムとは、部品表を効率的に管理するための仕組みのことです。製品に必要な部品情報を統合的に管理できるほか、各部門への情報提供をスムーズに実施します。

また、BOMシステムは複雑な部品を統合的に管理できるため、製品を大量に製造・管理している企業にとって重要なツールとなります。最近では、中小企業も積極的に導入しているなど、BOMシステムに注目が集まっています。

BOMシステムの機能

BOMシステムには豊富な機能が備わっています。代表的な機能としては、大きく分けて以下の4つがあげられます。

BOMシステムの機能内容
BOM(部品表)管理機能・部品表や設計、生産などを属性ごとに管理できる
・どこに何のBOMがあるのかが明確になるため、部品表の間で矛盾が生じづらくなる
・部品表以外にも製品の製造工程に沿って管理できる
・製品が完成するまでにかかる時間が明確になる
BOM(部品表)更新機能・自動的に部品表の変更履歴を管理してくれる
・設計部門で情報共有が容易になるため、伝達漏れや設計ミスを防止できる
製品管理機能・製品を属性ごとにわかりやすく管理できる
・製品情報を紐付けて登録できるため、製品の図面を探す手間が省ける

BOMシステムは、これら多彩な機能を用いて各種BOMのスムーズな連携を図ります。

なお、このBOMシステムを詳しく知りたい方は、「いま話題のBOMシステムとは?活用するメリットや機能性を解説」をご参考ください。

代表的なBOMシステム3選

BOMを効率化させるBOMシステムには、多種多様な製品が存在します。初めて導入する方は製品選びに迷ってしまうでしょう。そこで本項では、代表的なBOMシステムを3つ紹介します。

1.rBOM
2.Celb
3.生産革新 Bom-jin

それぞれの違いを理解することで、自社に適したBOMシステムが見つかるはずです。

1.rBOM

「rBOM」は、大興電子通信株式会社が販売しているBOMシステムです。

「リアルタイム統合部品表」を中核として、発注管理、債務管理、在庫管理、予算管理機能などを搭載した生産管理モジュールによって、基幹業務を適切にサポートしてくれます。

なお、「rBOM」には以下3つの特徴があります。

特徴内容
リアルタイム統合BOM受注ごとに製品仕様が異なる「個別受注業務」に特化している。
設計~保守まで、幅広い業務機能設計からの五月雨出図や設計変更が多く発生する業務に適しており、あらゆるコスト削減を実現できる。
リアルタイムな情報共有手配や原価進捗などをリアルタイムに情報共有できるため、リードタイムの短縮や入力ミスを削減できる。

「rBOM」はM-BOMとE-BOMを1つのデータベースで管理できるほか、そこに各部門の情報を追加することで、製品における全情報の一元管理を可能にします。

また、統合的にデータを管理できるため、利用目的ごとのビューで必要な情報を提供できます。

2.Celb

株式会社クラステクノロジーが販売している「Celb」は、部品マスタや図面、製品構成情報を分かりやすく管理できるクラウド型のBOMシステムです。

ほかの製品とは違い、「Celb」は導入費用が発生しません。月額制の低価格BOMであるため、予算が少ない中小企業でも導入可能です。

また、最大2ヶ月無料で製品を利用できるのも魅力的です。これまでにない新しいBOMシステムで、優れた費用対効果があり、導入している企業が増加傾向にあります。

直感的に操作できるシンプルな設計でもあるため、初めてBOMシステムを扱う方におすすめできます。なお、「Celb」の各種機能は以下の通りです。

機能内容
部品マスタ機能製品や部品、半製品、原材料、副資材などの構成品目の属性や図面などの情報を一元管理する。
部品表(BOM)機能製品の構成部品をツリー形式で管理する。登録した部品は品目マスタと連動し、変更内容がリアルタイムで反映される。
管理者支援機能情報の編集・閲覧権限をユーザ単位で設定し、登録データの承認運用やシステムログ機能など、管理者支援の機能が備わっている。

無料体験版あり「Celb」はこちら

3.生産革新 Bom-jin

「生産革新 Bom-jin」は、大塚商会が販売しているBOMシステムです。BOM構築による流用化・標準化設計で、製造業の上流から下流までを一気通貫で管理します。

また、部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現するほか、生産部門との双方向連携による管理で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上に期待できます。

「生産革新 Bom-jin」の具体的な機能は、以下の一覧表をご確認ください。

機能内容
設計資産の2S(整理・整頓)の要「品目台帳」品目の分類整理・検索、品目コード自動採番、図面管理
流用設計、標準化設計をサポートする構成編集部品構成の編集、類似コピー、構成間の差異確認
設計~生産への橋渡しとなる出図と手配部品表自動作成・スタンプ付一括図面出力、生産情報のフィードバック

E-BOMから編集が完了したM-BOMを画面操作で連携でき、品目・部品構成マスターの登録作業を削減できます。

なお、「生産革新 Bom-jin」の公式ホームページから、カタログを無料でダウンロードできます。検討している方は、ぜひそちらをご利用ください。

まとめ

本記事では、M-BOMとE-BOMの違い、各種BOMを連携させるメリットと課題点を解説しました。

M-BOMとE-BOMはまったく異なる部品表です。双方のBOMを連携させればメリットが見込めるものの、システム自体が異なるため容易ではありません。

しかし、BOMシステムを導入することで、各種BOMの連携に一歩近づきます。また、BOMシステムは製品に必要な部品情報を統合的に管理できるほか、各部門への情報提供をスムーズに実施します。

なお、本サイトを運営する株式会社クラステクノロジーも、「Celb」というBOMシステムを提供しています。

本サービスは情報の分散化・俗人化・不整合の根本的な改善と、情報管理の手間やコストの大幅な軽減を実現します。また、月額利用のできるBOMシステムであるため、「初期費用をあまりかけたくない」という方にもおすすめです。

そのほか、BOMに関する質問や相談も承っておりますので、「BOMを連携させて効率化させたい」「BOMシステムの導入費用を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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